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映画感想 - 勝手にふるえてろ

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勝手にふるえてろ

 

★★★★★

 

 


[あらすじ]

あたし、江藤良香、24歳!好きなものはタモリ倶楽部絶滅危惧種の動物たちで、中学生時代に一度同じクラスになっただけの男の子、イチに10年間片思いしているってこと以外はごく普通のOL!本能で生きるなんて野蛮って思ってたのに、ある日会社の同期、ニに告白されちゃった!でもでも、あたしにはイチがいるし…これからあたし、どうなっちゃうの~!?

 

 

[感想]

いや~いい映画。いい映画ですね。そうじゃないですか?ぼくは完全にいい映画だと思います。まだ見ていないっていう人は早いところ見に行ったほうがいいと思うし、もう見たっていう人も懲りずにまた見に行くべき。それくらいいい映画なのではないでしょうか。東京の人で見るなら新宿シネマカリテがオススメです。

 

どこがいいかっていうと、まず大前提として松岡茉優がすごい!!!今作は松岡茉優の初主演作品なんですけど、えっ今まで主演映画なかったん…?っていうくらい松岡茉優の女優としての完成度が高い。会話の間が完璧で演技とは思えないほど自然だし、顔の表情や歩き方なんかも演じている「江藤良香」が立ち現れるようで引っかかるところがないんですよね。だから見ていて冷めてしまうような粗がまったく感じられない。しかも、松岡茉優のすごさってたぶんそれがどの役でもそうできるってところなんじゃないですかね。ずっと追いかけてるわけじゃないのでわかりませんが、「桐島部活やめるってよ」のときの役は今回とは真逆で攻撃的なギャルの役でしたが、その時もめちゃくちゃ自然で本当に腹立たしかったし、ドラマというかモキュメンタリーですが「その『おこだわり』、私にもくれよ!!」の時も「人の評価を気にする八方美人」の雰囲気を濃くまとっていたし。それと、今回は24歳の江藤良香だけでなく中学生時代、十年前の江藤良香も松岡茉優が演じていて、それもすごいんだよな~。声の調子が弱々しくて、ウジウジしている感じ…。現在と10年前がシームレスに繋がるシーンがあるんですが、その時の松岡茉優もう怖いもんね。

で、松岡茉優の魅力もうすごいのは本当にそうで、この映画を見たらたぶんファンになっちゃうんですけど、他の俳優たちもすごいんだよな~~~。ヨシカに思いを寄せる会社同期「ニ」役の渡辺大知はめちゃくちゃ鬱陶しくてウザったいやつだなっていうのを身体全体で醸し出してるし、ヨシカの片思い相手、「イチ」を演じる北村匠海は逆に人に好かれたりちょっかいかけられがちなんだけど実はめちゃくちゃ繊細…みたいなキャラクターに合ってる。役者本人の演技力もそうだし、キャスティングもよく考えられてるような気がします。ヨシカの同僚で、恋愛にエネルギー注いでる月島来留美石橋杏奈が演じてるっていうのもいいですよね。なんか、っぽいもんな~。知らんけど…。ほか、街の人たちとして片桐はいりとか古舘寛治とか出てくるけどここらへんもいいですよね。少し変わってるけどこういう人いるよね、感。めちゃくちゃ自然だし、絶妙なのではないでしょうか。どうなんでしょうか。

 

役者だけでなくて、当然映画としてもよくできていて、たとえばテンポ。テンポがいいってめちゃくちゃ重要な点だとおもいますが、勝手にふるえてろのテンポってかなり意識して作られてるような気がするんですよね。特に場面の切り替わるときの、本当にパッ!って感じの唐突とも言えるテンポの良さは劇中何回も出て来るんですけど、これ癖になりますね。さすがにショーン・オブ・ザ・デッドとかでエドガー・ライトがよくやる、本当にパッ!パッ!パッ!って一、二秒くらいで切り替わるってほどじゃないんですけども。でもたまにそれ思い出すくらいの切り替わりとかあってよかった(アンモナイト→正月飾りのしめ縄みたいな同じ円モチーフでパッと切り替える感じとか)。前半とくになんですけど、ずっと松岡茉優が喋り続けるっていう部分何箇所かあって、松岡茉優が喋ってる内容はシームレスなんだけどテンポよく場面を切り替えることで話に退屈しない、新鮮な感じでスルッと頭に入ってくるのがすごいですよね。これ原作では地の文のモノローグなんだけど、映画ならではの方法で構成されててうまいことやってるよな~。監督のインタビューによると、松岡茉優が次から次へとスタッフや俳優と喋ってるのを見て思いついたらしいです。いい話ですね。

 

テンポのよさと少し関連すると思うんですけど、音もかなりよく考えられてるような気がします。特にテンポと関係するのは効果音。かわいい動物を紹介するバラエティとかで、足音になんかよくわからんがぷゆぷゆいう効果音つけてたりするじゃないですか。あれあんまり好きじゃないんですけど、今作そういう、動作に効果音がつけられてることすごく多いんですよね。たとえば親指突き出す時にビシッ!みたいな。これってたぶんこの場面はギャグというかコメディとして見てね~的なエクスキューズ的な側面があるんじゃないかな~。そうなんだろう。もしくは、ヨシカの空想であるっていう表現のとこもあるかも。ちょっとこれはどこに効果音使われてたかきちんとたしかめないといけないかもしれない。

 

あと音というか音楽。ヨシカが喋ってる時もジャンベみたいなポンポコいう音楽が鳴ってたり、中学時代の回想シーンの音楽だったり、あとヨシカが部屋の中にいる時に隣人がオカリナを吹く音が聞こえてきたりするんだけど、これもすごく自然。うまく表現できないんだけど、突出してないというか。それって劇伴の基本なんだろうけど、今回そうやって音楽ばかりが前にでてこないでいるのに、それでもあそこの音楽よかったな~ってなってるのが不思議なんですよね。たまに取ってつけたような音楽がまるで間を埋めるためだけのように流れてたりしませんか…?そういう音楽じゃなくて、ただただエンターテイメントにするため、演出のための伴奏のようにその場面に適した音楽なんだけど、それが安直な音の種類とか楽器とかではなく、少し変わったこと、面白いことをしているからそう思うのかも。わかんないですけど。ちなみに、今作の音楽はすべてNHK世界ネコ歩きの曲を作った高野正樹という人が作ってるらしいです。ツイッターに今作のトラックリスト載せてたんだけど、「ダイブintoメモリーズ」とか「ニのテーマ うざすぎる編」とか「東京の夜景綺麗」とか、曲名が独特でいい感じでした。そういう名前だったんだね。サウンドトラックの発売予定は今のところないらしいですけど、ぜひ出してほしいな~。劇中のヨシカみたいにテクノ聞きながら家事したい(このとき聞いてる曲も高野さん作曲で「ヨシカドライバー」って名前らしい)。

 

音以外の演出もよかったな~。特に光がすごく効果的に使われてたと思います。たとえば、今と10年前の回想シーンでは光の色合いが違ったり、ヨシカが何かを決意するところで会社の廊下を歩くんだけど、一度影になってるところから光が差しているところに出たり、ウキウキとテンション上がってるヨシカ、あと告白してくるときのニに後光が差してるように見えたり。ここもめちゃくちゃわかりやすい演出をしているのがすごい。演出全般に言えるんだけど、見ている人が置いてけぼりにならないように、どこかで引っかかったり戸惑ったりしないように、めちゃくちゃバリアフリーな演出してると思うんです。ひょっとすると過剰かもしれないくらいに。たぶん相当気を配ってるんじゃないですかね。見ている人にきちんと伝わるように、光や音の演出をしてるし、セリフもかなり親切ですよね。あんまり言うとネタバレになりますが、一歩間違えたら興ざめしちゃうくらいわかりやすく映画の展開を示唆するセリフがあったりしてるような。(でも言い回しや役者さんの演技のうまさでだいたいカバーされてる)これカバーされてないと「急にこんなこと言う?」とか「えっさっきのってこれの伏線なわけ?」って引っかかっちゃうわけで。それって「こんな人間いねーよ」ってなり、そうするとこの映画のしたいこと(なんじゃないかとおれが思ってること)と乖離しちゃうわけで…。そういう棘を徹底的に排除するための演出なんじゃないかと思いました。うまく言えませんが…。

 

う~ん なかなかまとまりがありませんが続けます。こうやって「ぼくはこうなんじゃないかと思うんですけどみなさんどうですか?」って話したくなるような映画なかなか今までなかったんで…。

 

今まで、演出のわかりやすさ、引っかかる箇所の少なさがすごいってことをお伝えしてきたんですけど、これは中盤の事件までの導入だと思ってます。その事件を引き立たせるため、ギャップを大きくするための布石なんじゃないかな…。もちろん百パーセントそうってわけじゃないし、後半にも笑えるセリフとか演出はあるから一概にそうは言えないんですけど、少なくともこのギャップはすごい。そう企んでいたのなら成功していると思うわけです。もう予告の時点で始まってますからね。三角関係のラブコメディと思わざるを得ないような予告動画。これを見て、前半のコメディ要素多めの演出を経て、そこからのギャップってすごいものがありますよ。いや見た人ならわかると思いますけども。見てない人ははやく見て!!!!

 

この中盤の事件(ほんとうに中盤も中盤、っていうかど真ん中くらいじゃないですかね)の直後に明かされることがあって、それにもうわ~そういうことか~ってなるんですが、これも結構伏線ありますよね。セリフとか、それを言ってる松岡茉優の表情とか。たまにえっこわ何なの今の…みたいになるところがありつつ、直後に演出やコメディっぽいセリフとか場面転換でごまかされる。最初っから不穏ですしね。それを一生懸命コメディの皮をかぶって演出して臭いを消してるってことなんだと思います。

 

それで、なんでそんなことするかっていったら、もちろんインパクトを出すためっていうのもあるんですけど、主人公であるヨシカの世界の見方そのものを演出するためでもあるんじゃないでしょうか。前半、ヨシカはイチをはじめとして、自分の頭の中の理想を追いかけてその世界に浸ってます。時々現実に帰りつつも、楽しく過ごすわけです。しかし、真ん中あたりでそれはどうなんだ?となる。理想は理想でしかなく、そこで生きることはできない。しかし、現実で自分のことを見てくれる人はいない。そう気づく瞬間が、その中盤の出来事なのかな~。

 

まぁ…いいんですけど…。

 

衣装の話、赤色の話、玄関の話、小道具の話とか、まだまだ話したいことあるんですけど、なんかもうまとまりがなくなってきちゃったな。ここらへんで終わります。また時間があったらストーリー自体についてももっと語りたいですね。言論部にも入ってたもんで、どうしたって語ってしまうからね。

 

では…