トロログ

トロニーのブログ、略してトロログ。

天才ではない建築学科生のための必読本10選

こんにちは。東京の大学院で建築を勉強しています。トロニーです。

建築初学者に向けて、オススメの本を紹介したいと思います。

それも、普通の建築初学者というよりは、少ししんどくなってる初学者、もしくは間違って建築学科に入っちゃった人や、建築に興味を持ち始めたばかりの人を対象にしています。なぜならぼくがそうだったからです。

 

その点踏まえてどうぞ。少しでも参考になると嬉しいです。

 

 

 

 

建築書

教授や先輩たちが薦めてるのってだいたいこのあたりだと思います。(知らんけど)

ル・コルビュジェ 1923 『建築をめざして』

・ロバート・ヴェンチューリ 1966 『建築の多様性と対立性』 

レム・コールハース 1999 『錯乱のニューヨーク』筑摩書房

 

読む気にならね〜ッ!

ならんのよ。なることある?SD選書の黒い表紙ってカッコいいんだけど初学者にとっては物々しすぎてプレッシャーじゃないですか?ぼくだけですか?インデント(段落最初のひと文字下げるやつ)がないのも意味わからんし、高いし。2400円か〜…。高…い…?高いよね?そっか…本って高いんすね…普段文庫か漫画しか買わないんで…

 

こういった重要な建築本はぜひ読むべきだとは思うんですけど、最初に読むのはどうなのかな〜と思うんです。必ずしも飲み込みやすい内容とは限らないし、古い本だと訳がとっつきにくい場合が多いので、十分ウォーミングアップをしてから読みましょう。(ただ、あえて最初に挑み、わけわからないながらも読み切っておくと再読時にアハ体験ができたりして楽しかったりする。)

 

 

まず建築を好きになる

で、そのウォーミングアップとしてオススメなのが…

 

・香山壽夫 1996 『建築意匠講義』東京大学出版会

 

こちらです。かなりいいですよ。

 

タイトルの通り、東大で香山壽夫先生が担当していた「建築意匠」という講義をまとめたものなんですけど、ほぼ講義録なので文章がかなり平易です。わりとスラスラ読める。そしてこの授業自体が建築学科に入ってすぐの人に向けたものなので、内容も易しいです。

 

この本のすばらしいところは、香山壽夫先生の言葉がとてもストレートなこと。めちゃくちゃポジティブ。めちゃくちゃ建築に真摯。建築を100%信じているんだなっていうことが文面から伝わってくるんです。正直泣けます。

 

今どき建築ってけっこう窮地に立っているような気がして、例えば国立競技場とか築地市場移転問題とかの世間の風当たり、もしくは世の中と建築業界の乖離だったり、労働環境がブラックだっていう噂だったり、人口減少時代で家が建たないとか仕事が減るとか、ま〜〜〜ネガティブな時代じゃないですか。その中で建築を勉強するのって正直すこし悩ましいんです。少なくともぼくはそうでした(っていうか今も悩ましい)。

 

でも、香山先生の言葉を読むと、あれ?でも大丈夫なんじゃない?ってなるんですよね。建築の力って、本当にあるんじゃない?っていう。なので、全建築学生に読んでほしいんですけど、特にしんどそうにしてる人たちにオススメの1冊です。

 

ほかにも、建築の可能性がわからなくなってきたら

高松伸 2002 『夢のまにまに夢をみる』TOTO出版

がオススメです。

高松伸のエッセイ集です。実際に設計をする人の熱い魂的なものが伝わってきます。本当に熱い。香山先生は「あったか〜い」なんですけど、高松伸はもう「アッッッッッッッッッッ!!!!ツッッッ!!!!!」です。ヤケドしちゃうって。

まぁ建築の可能性っていう話なら実際に建築を見に行くとか、その建築を使っている人たちを観察する、とかが本当はいいのかもしれないんですけど、「可能性を押し広げようとしている実務者」の声っていうのがこのエッセイ集にはあるので、ぜひ。

 

 

それと、

・成瀬友梨ほか 2018 『子育てしながら建築を仕事にする』学芸出版社

これもオススメです。建築という仕事を精神面+実際的な話でもポジティブに捉えることができます。著者、編者の成瀬友梨さんは2017年まで東大の助教をしていたのですが、この本も学生向けに企画したものだそうです。単純に建築設計に関わるいろいろな業種(アトリエ事務所主宰・勤務、組織設計事務所勤務、構造設計事務所主宰…)の働き方を知ることができるので、それだけでもう参考になるし、みんな大変そうながらもその中で楽しさを見出している姿がカッコいいです。早く働きたいな〜とか、早くこどもほしいな〜ってなる。

 

という感じです。とにかくまずは建築のモチベーションを高める!そしたら好きに興味のある本を読めばいいのではないでしょうか!!!その際なに読めばいいかわからないっていう場合は、結構いろんな研究室がホームページに必読書リストみたいなのを掲載してたりするので、そちらを参考にしてみてください。GAの本特集号や、SD選書の本(鹿島出版会のサイトから飛んでください)なども参考になると思います。

香山さんの建築意匠講義の巻末に推薦図書リストがあるんですけど、もう入手困難な本が多いっぽいので、そういうのとか、高価で買えなさそうな本は図書館で借りましょう。

あと建築書の専門店に行ってみるのも普通に楽しいと思います。

 

リンク集

突然ですが読む本に困ったらここを見るといいのではないかっていうリンク集です。

↓10+1「研究室の現在」というテーマの特集。各研究室の必読書なども掲載

http://10plus1.jp/monthly/2015/05/

東京大学 川添研究室の必読書。実際に院生に課してるみたいです。

東京大学 川添研究室

難波和彦の「難波研必読書20選」

難波和彦+界工作舎

 ↓このブログ参考になりますね 引用されている隈さんのやついいな

読書会をめざして・その2 建築本を探せ! 本で読む建築、ホンチク。

↓あとこのブログもいい 更新待ってます。

t-037’s blog

 

違う角度で物事を見てみる 

まぁもう建築の方は上の本とかサイトとか参考に、みなさん好きにしていただいて、ほかの分野のもちょっと紹介してみます。

・菅俊介 2017 『観察の練習』NUMABOOKS

 

菅俊一さん(@ssuge)の本です。内容は、一見なんの変哲もない風景なんかの写真たちと、それぞれに対する短い文章。サッと読めます。でも、読み終えるとほぼ確実に世界の見方が変わるんじゃないですかね。世界の見方、見え方を少し変えるだけで、新しいわかり方、考え方が手に入る…という本です。それって、建築にも建築以外にも必要なものだと思うのですがいかがでしょうか。

 

ちなみに、本自体がすごくおもしろいモノなのも要注目です。「本を出版する必要性」みたいなものをめちゃくちゃ追求してる。ぜひ手にとってみてください。

 

・読書猿『問題解決大全』フォレスト出版、2017

 

問題って誰しもが抱えてると思うんですけど、この本はそれに対する「新しい見方」を提供してくれます。上の「観察の練習」が風景や世界に対する見方に刺激を与えてくれるとしたら、この「問題解決大全」は内なる問題を立体的に捉える手助けをする本です。いまのはカッコつけました。

 

問題を解決するためのフレームやアイデアは、人類史上で先人たちが生み出したものです。それぞれの経緯や解説が載っているのですが、それを読むだけでおもしろいです。その上役にも立つ。いいですね…。

 

 

そもそも、本というもの自体がすべて他者の視点に立つ手助けをしてくれるものなので、とりたてて「違う角度で物事を見てみる」なんて言って取り上げなくてもいいんですけどね。中でもこの二冊がオススメでした。ほかにもヘンテコノミクスとかもいいですよ。

 

勉強のしかたを勉強する

勉強とか読書ってしなければいけない雰囲気あるし、実際自分としてもやりたいものじゃないですか。モチベーションとテンションは高いっていう。

で、気持ちだけではなんなので、実際どう行動するのがいいのかというのがこちらの本。

・千葉雅也『勉強の哲学 来たるべきバカのために』文藝春秋、2017

 

はい。まだ定番というほどではないが、いずれ定番になりそうな本ナンバーワンです。前半は「そもそもなぜ深い勉強をすべきなのか」というようなことをわりと原理的に解説しています。もちろんそれもおもしろいですが、後半の実践的パートをぜひ読んでほしい。結構自分をみつめることになると思うんですけど、「自分なりの勉強」というものを始める立脚点になると思います。

 

あと、勉強の心構えとしては、勉強の哲学でも紹介されてるんですけど

・ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』筑摩書房、2008(文庫2016)

これがオススメです。もうタイトルがおもしろい。中身も当然おもしろい。

もしもなんですけど、僕が今まで紹介してきた本、まったく読んでなかったらどうですか?驚きますよね。それでもまぁいいんじゃない?っていうのがこの本の主張のひとつです。大事なのは1冊1冊をきちんと最後まで読んだり暗記したりすることではなく、それぞれのネットワーク、自分とそれらのネットワーク、自分と他者とのネットワークだ…的な感じだったとおもいます。ぜひ読んでみてください。(しかしこの本の主張的にはタイトルとあらすじだけでも十分ってことになるわけですけども…)

 

まとめ

実際のところ、本読むより大事なことはあると思います。旅行するとかバイトするとかなんとか。そこらへんは人それぞれなわけで。

でもまぁ、もしこのタイミングで「そろそろ本読んだほうがいいんかな〜」と思ったなら、間違いなくそれが読む時です。結局やるかやらないかの人生、やる方を選びましょう

 

(毎月おすすめの本や音楽などをまとめてるので、興味あったらぜひ↓)

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