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【読書感想メモ】不思議の国の少女たち

 

不思議の国の少女たち (創元推理文庫)

不思議の国の少女たち (創元推理文庫)

 

 

【あらすじ】

不思議の国のアリスオズの魔法使いのように、異世界で暮らしたことのある少女たちを預かる寄宿学校のお話。子どもたちは「現実」の世界に戻ってきてもなお、彼女らの「故郷」への扉を探している。ある日「死者の国」から戻ってきた少女が新たに仲間入りするが、それ以来怪事件が起こるようになり…

 

【よかったところ】

・ファンタジックな冒険をしてきた少女たちのその後を描くという、斬新な視点。彼女らが旅をした異世界が、1つとして同じものがなく少女らの個性に沿った世界であるとか、ある程度研究が進んでいて統計的に分類されつつあるとか、ディテールがおもしろかった。

 

・登場人物が異世界でどのような経験をしたかが、ほんの少しだけ明かされる。彼女らは周囲の人物からは、ショックな出来事を忘れるために物語を生み出した可愛そうな子供とされているので、向こう側の出来事を話したがらない。しかし心が通じたものにだけ少しずつその話をしたり、向こう側での経験を活かした技能などを披露するようになる。そこで垣間見える世界や物語にワクワクする。

 

【好きじゃないところ】

・訳があまりに日本語訳っぽすぎる。ティーンエイジの少女が言わないようなセリフ、日本語としては不自然な語順、固有名詞の訳がピンとこない、単に読みにくい文中挿入など、なんだかな〜って感じの訳。

 

・ファンタジーに浸れない。ファンタジーっぽいのだけど、実のところそうでもない。向こうの世界にいられなくなった子どもたちは悲哀に満ちている。トラウマの後遺症だと思われたり、今いる世界より向こう側に帰りたがっていたり。なので基本的に明るくはない。中盤起こる事件以降はハッキリと暗い。「向こう側から帰ってきた子どもたち」の物語自体はめちゃくちゃいいなと思うぶん、少し残念。

 

【感想】

アトロクで紹介されていたので図書館で借りました。最初期待していた分、読んでいて悲しくなってしまった本です。内容自体は思っていたのと違っていても全然平気なのですが(むしろ意外性があってよかった)、ちょっと文章自体が好きじゃなかったな。訳なのか元の文章なのかはわかりませんが、文章の途中に別の文章ーたとえばこういう風にーが入ったり、気取った言い回しをしたり。海外文学あるあるかもしれませんが、やけに鼻についてしまいました。

 

物語自体はよかったと思います。そんなに嫌いじゃない。いるべき場所に自分がいないと思っている子どもたちの少し悲しい話。希望を持ってはいけない、帰るべき場所に帰れるなんて思ってしまったら押しつぶされてしまう。でも、どうしても帰りたい。彼女らの苦しみの描写がたくさんあるのですが、いちいちグッと来ました。

 

ぼくの読みたかったのはたぶん、向こうの世界で身につけた考え方や能力を、こちらの世界でうまいこと使って冒険していく、みたいな話だったんだよな。少年漫画みたいな明るい話。それとは違う、けっこうシリアスなものでした。しかしよく考えたら、そんな能天気な話にはできないよな〜。読んでいて気が滅入りそうになりましたが、一方でワクワクもしたし、最後のカタルシスは新鮮でよかったです。

 

 

不思議の国の少女たち (創元推理文庫)

不思議の国の少女たち (創元推理文庫)