11月は主に卒論に頭の容量の大半を占められていたせいで、まだ始まってもないのにもう終わってしまったなという印象。なんだったんだ、11月。もっと主張してくれ。
小学校のときの親友が11月生まれで、10年以上会ってないのに11月末になるたびにそのことを思い出して感傷的になってしまう。元気なんだろうか。一緒に遊んだPCエンジンのプロレスのゲーム、一個もルールわかってなかったけど楽しかったな。元気だといいな。
そんなしんみりした空気のなか、11月のまとめ行くぞ!!!!!
映画
卒論で忙しくて、というよりは卒論から逃げるのに忙しくてあんまり映画見てません。今年全然映画見てなくて、ほんとうにおれって映画好きなのか?みたいに思ってしまいがち。疲れと焦りとで気軽に映画見れなくなっちゃった。一本2時間と考えるとなかなかな〜。それでも映画見るたびに映画っていいな〜好きだな〜って思ってしまうんだよな。ありがとう…すべての映画関係者…
ヴェノム
感想書いてました。
やっぱり、制作陣がやりたかったことと、経営陣の描いていたプランの妥協点がこの作品なんだな〜って。そんな大人の事情みたいなのじゃなくて、もっとエッジの効いたヴェノムが見たかったというのが本音です。
ゲームナイト
素直におもしろかったです!キャラクター多いのにそれぞれ特徴立ってるし、二転三転するストーリーもきちんとまとまってたし、コメディとしてちゃんとおもしろいし、なかなかよい映画なのではないでしょうか。予告編だけでもぜひ。
12月はあんまり見たい映画ないんだよな。でもシュガー・ラッシュはぜひ見たい。
音楽
音楽聞いてると目の前のことに集中できないってもう10年前くらいから知ってるけど 嫌々やってることに向き合うのに音楽なしじゃしんどすぎるから集中できなくても音楽聞いてしまう
— トロニー (@toroni95) 2018年11月23日
本当にこれなんだよな。結局耳栓してるのが一番集中できる。でも聞いちゃうんだよな〜。
AINOU/中村佳穂
京都のシンガー、中村佳穂の新しいアルバム。制作はバンドメンバーと合宿しつつ、二年半ほどなかなか長い時間かけたとのこと。演奏の上手さとか、声のエネルギーとゆらぎに心が揺さぶられる感じとか、メロディの耳に残る感じとか、そういうのもすごくすごくいいんだけど、特に詩がすごく好き。
朝に目細めながら次に会う約束を決めたいな
ありきたり、照れ笑い、ほそわらい、嫌かなぁ。(GUM)
原色の感情じゃなくて、細かな心の動きを表すような詩だったり
湯船にポチャン、あの感じになる
頭の裏ゾワゾワして浮かんでクゥ〜!(Fool for 日記)
詩だけで見ても「?」って感じだけどメロディとテンポに乗るとやけにストレートに良かったり
get back 呼吸の仕方すら確認してしまう夜は
get back 君の声で元に戻りたい(get back)
プラスの感情もそうでない感情もとってもリアリティがあって、それはすべての歌詞が中村佳穂自身の経験や心情から作られたものだからなんだけど*1
はいからいきゅねんいっけんどし
うつつうだらんうってんだゆ
光って光ってんだ どうしてあなたが光っているんだ(そのいのち)
そしてとにかく詩も音楽の一部なんだって強く感じる。
最初三曲のポップさとノリの良さが好き。でも一番好きな曲は「そのいのち」優しさとか、切なさとか、そういうのが音と声と詩の上に乗っていつの間にか体に染み込んでいくような気がする。何回でも聞いてしまう。
PLAYGROUND/mom
Momの音楽を最初に聞いたのは確か2017年末で、どこかのサイトで誰かが「2017年のベスト」的な感じで紹介していたからだったのだけど、そのときはそんなに好きな感じじゃなかったのだよな。マンアフターマンって曲はかなり好きで、他の曲は癖が強くてちょっと…ってなってしまっていた。何回も聞いたら好きになりそうなんだけど、何回も聞く前に少し疲れてしまうような、すごくオリジナリティはあるけど、逆に言うとそのオリジナリティが個人的には壁になっていたような気がする。
が!!!!このアルバムさ!!!!めちゃくちゃポップで聞きやすくないですか?なのにオリジナリティは保ったまんまで、ぼくにとってはめちゃくちゃいいバランスの音楽になってると思います。That Girl、夏の魔法'18、kiss、Boyfriend好き。
我的新衣 (feat. Ty. & 王倩倩)/VAVA
中国成都市のフィメールラッパー、VAVAのヒット曲。映画クレイジーリッチの劇中歌だったらしい。中国の伝統的な雰囲気(京劇っぽい感じ)にヒップホップがよく合ってる。ザ・マンドラップ!!!とてもいいな〜。当然歌詞は中国語なんだけど、とはいえ意味はわからなくてもかなりカッコよくないですか?ちなみに「自分らしくカッコいい服を着てる私はキレイで最強!!」ということを言ってて、まぁめちゃくちゃセルフボーストしてる曲です。いいですね〜。「美やファッションを愛さないあなたたちは女王である私が殺す」ってかなりすごいこと言ってるな。ぼくもそうありたいものです…。ここ半年くらい服買ってませんが…。
アルバム、他の曲もカッコよかったです。台湾じゃなくて中国で、しかも女性がラップしてるのって実際大変な気もするんですけど、今後も注目したいな〜。カッコよすぎるから…。
https://itunes.apple.com/jp/album/21/1292709844?uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog
パタミュージック/網守将平
藝大音楽学部作曲科を主席で卒業した網守将平のポップミュージックです。すごいかよ。
めちゃくちゃアカデミックで権威的なところ出身で実験音楽とか現代音楽をやっているイメージで、正直前回のアルバムもあんまりよくわからなかったんです。で、今回のアルバムもおれには合わないのかな〜って思いつつ、知ってる人がMV作ってたので見てみたら映像も相まってめちゃくちゃカッコいいんですよね。これなんですけど。
網守将平 - 偶然の惑星 / Shohei Amimori - Coincidental Planet
すごく絶妙なバランスで成り立っている、違和感と心地よさが波のように寄せては返していって、そしていつの間にかその境目が融けていくような、そんな曲だと感じました。この映像も近い印象。もどかしさと気持ちよさ。
ほかの曲も聞きやすいような難しいような、なんらかとの境目にある曲ばかりですごくおもしろかったです。とても多様。いまといつまでもという曲が比較的わかりやすくて、とても好き。このインタビューもおもしろかったです。
網守将平と音楽問答。我々は「音楽そのもの」を聴いているのか? - インタビュー : CINRA.NET
いろいろ考えてるんだな〜←なにも考えてないやつのセリフ
本
忙しい時ほど本を読みたくなるんだよな。映画はむしろ避けるんだけどなんでだろう。活字はセーフって認識なのか。そんな感じでなぜか平時よりたくさん読みました。
そこのみにて光輝く/佐藤泰志
めちゃくちゃよかったな〜。解説で「佐藤泰志の作品は出会いのシーンが非常にいいんだけど、その良さは『普通』である」みたいなこと言ってて、これには本当に膝を打った。そうなんだよな〜!!それおれが言いたかったよ〜!!!
出会いのさり気なさ、美しさ、生活や土地の閉塞感、それに対する諦観、未練、死と性。それらを至って普通に描いているのがおれが佐藤泰志の作品を好きな理由なんだろうな〜、と思いました。映画きみの鳥は歌える、また見たいな。
君は永遠にそいつらより若い/津村記久子
そこのみにて光輝くもそうだけど、古本屋で買った本です。
これもすごくよかったな。奇跡なんか何ひとつ起こらない苦しさの中で、でも結局最初から最後まで全部がちょっとした奇跡だったみたいな、そんな小説だった。
道なき未知/森博嗣
森博嗣ってずっと同じ正論を言ってるからすごいよな〜。ハンターハンターの冨樫義博はマンガの技法を完全に言語化・理論化しているらしいんだけど、そんな感じで森博嗣も「森博嗣」という生き方をもう理論にしてるんだと思う。それをここで少し開陳してるって本。
だから、苦労はしたくない、生きやすい人生で良い、楽しければそれで良い、とだらだらと日々を過ごしていると、いずれは手詰まりになる。何故なら、初めに「怠ける」という小さな楽しさを先取りして、あとから来る「ツケ」を待つ生活になっているからだ。ようはローンみたいな生き方といえる。楽しさの利子は馬鹿にならない。もしまとまった楽しさを味わいたかったら、こつこつと溜めていくしかない。
十七八より/乗代雄介
けつのあなカラーボーイっていうサイトがあるんですよ。あるんだからしょうがない。インターネット(ツイッター)でネタツイートを投稿する人たちが集まって作ったサイトらしくて、参加者全員にサイトのIDとパスワードが共有されてて、各自が勝手に作ったものを載せていく同人的な創作サイト。漫画とか文章とかアップされるんだけど基本的に下ネタが多かったりそもそも意味が全くわからなかったりする。
乗代雄介はそこに参加していたうちの1人だったわけなんだけど、その出自よりおもしろいのが文章表現。異常なほどに比喩が出てくる。そしてその比喩が独特で、しかしすごくしっくりくるんだよな。
姉が風呂に向かう頃となると、スポーツニュースを見たい父や弟が、リモコンが摂氏八十度もあるような手つきでチャンネルを変え始め、母親はたいていキッチンにいて慌ただしく動いている。
文体はそんな感じで比喩や引用に溢れていてほとんど溺れてしまいそうなほどなんだけど、ストーリーもすごく危うくてよい。タイトル通り高校生の女の子が主人公で、彼女を取り巻く家族、学校、性、そして叔母が関わってくる。どれもが微妙な距離感の関係で、絶妙にやり過ごしているだけの少女。そしてそれを、成長した少女が振り返って書いているという体で進む(この構造もおもしろい)。その目線もおもしろかったです。
しかし、のたうち回ってきた道筋や足下にぬらぬら光っている体液のきらめきこそを感傷と呼ぶのだ。
さっき言ってたサイトでこの本の元になったと思われる文章が読めるのでぜひ。
本物の読書家/乗代雄介
あとこっちもおもしろかったです。この本を書くことで自分がいかに読書家なのかを示したかったのかもしれない、ってインタビューで言ってた。これも引用と比喩がハチャメチャに押し寄せてくる。
スクリプトドクターの脚本教室・初級編/三宅隆太
タマフルやアトロクでおなじみの映画監督、三宅隆太の本。よかったです。
映画見てても、その映画の何がよかったのか、どこが理由で好きになったのか上手く言語化できないのがもどかしくて、なにかヒントがないかと脚本の勉強をするつもりで読んでみた。そしたらもちろん映画脚本の具体的な技術の話もあったんだけど、むしろカウンセリングみたいな部分が重点だった。
というのも、三宅隆太が指導するような若い人の中には、うすぼんやりとした非常に内面的な脚本ばかりを書く人が多いらしく(疲れてる若者がいい感じのこと言う人に出会って「うん…もうちょっとだけがんばってみようかな…」とか言って微笑む、みたいな脚本)、それは自分の内面を開示していないからでは?みたいなスタートをするから。逆に言うと、脚本を書くことで自分の内面と向き合える、内面の問題が自分の強みになりうる、って感じのことも言ってた。気がする。全体の3割くらいがこんな感じの、カウンセリングみたいなパート。ぼくは完全にこの本で扱っているタイプの気弱で自分に自信を持てないタイプなのでウンウン頷きながらよんでました。非常によかったです。三宅さんの書き方もめちゃくちゃ優しいし真摯でいいんだよな。
アメリカ死にかけ物語/リン・ディン
アメリカで死にかけている場所や人たちについて、実際にそんな場所をずっと巡ってきた作者が書いた本。ホームレス、薬物中毒者、失業者、アルコール中毒者…。すさまじい。そしてその立場にはいつでもなりうると思って行きていかないといけない気がする。
読んでる途中だったけど貸出期限が来たから返しちゃった。でも図書館っておれの書庫なので、読みたくなったらまた借ります。
まとめ
フー長かった。11月意外といい月だった気がしてきました。いい音楽聞いていい本読んでる。12月はどうなるんだろうな〜。楽しんでいきたいですね。おしまい。
*1:さっきのfool for 日記も中村佳穂がそのまんまめちゃくちゃ日記好きだからできた曲らしい