トロログ

トロニーのブログ、略してトロログ。

 

渋谷に来るたびに感心してしまう。人間ってこんなにいるのかと。

 

グランドセフトオート5というゲームにはオンラインモードがある。ストーリーとかは特になく、世界中のプレイヤーたちとオープンワールドでやり取りをするのだ。やり取りの中には当然殺し合いも含まれる。そういうゲームだから仕方ない。

 

さて、このオンラインモードでは、自分の分身となるキャラクターを作る必要がある。他のゲームだと、目や鼻の形や位置、髪の色、場合によっては身長や体型を設定することができたりする。こだわりにこだわり抜いて、ここで何時間もかけて微調整をして理想のキャラクターを作る人もいて、ゲームを始める前にもうゲームクリアしちゃったくらいの達成感があるらしい。

 

しかし、グランドセフトオート5では細かいパラメータの調節はできない。このゲームがすごいのは、このキャラクターメイキングに「遺伝」のシステムを採用したところにある。

 

プレイヤーは顔の要素を直接いじることができず、「母方の祖父母、父方の祖父母、計4人を選ぶ」ことだけが許される。この4人の組み合わせによって父の顔、母の顔が決まり、そしてさらにその子である自分の分身の顔が決まる。

 

当然だけど、理想の容姿にピタリと着陸するのは至難の技だ。「父親と母親のどちらに、どの程度似るか」という選択項目はあっても、具体的にどのパーツを引き継ぐかは設定できない。鼻が大きいのが嫌でどうにかしようとしたら、今度は顎が変形してしまったり、とにかく複雑に絡み合った遺伝子の謎を解くことはできない。難儀なものである。

 

ということを、渋谷の雑踏の中でふと思い出した。

 

神さまは最初にアダムとイブを生み出したらしいけど、そこから無数に枝分かれしていって今の僕らがいる(とする)。自分の手でデザインしたのは最初の2人だけというわけだ。そこから派生していった我々を含む子孫たちのデザインに関しては何も手を入れていない。

 

渋谷の街頭には無数の人間たちがいて、それぞれが異なる容姿を持つ。当たり前なのだけど、よく考えたら奇妙だ。とてつもない枝分かれを経てここに至っているのだ。その結果、みんな違う見た目をしていて、異なる親から生まれ、異なる人生を歩んできて、異なる夢を持ち、異なる靴を履いて生きている。なんなんだ。どういう確率でこの場にこの人たちが集まったんだ。

 

交差点で、交わることのない小宇宙が座標面でだけ交差する。それが途方もなくてくらっとしてしまった。